ホームボタンに指紋認証機能(Touch ID)を搭載していて、片手に収まるサイズ、それでいてコスパも良い。
こんなiPhoneを追い求めてiPhone SE3に期待していた方は多いのではないでしょうか。
しかしながら今回発表されたiPhone SE3、調べれば調べるほどに買うべきでないことが分かってくる。
個人的な結論としては、iPhone SE3は時代遅れの在庫一掃セールなのじゃないかと思えてくる性能。
ホームボタンが搭載されているからと、仕方なく買おうとしている方も後悔するiPhoneとなりそうです。
iOS15.4でマスク着用時にもFace IDが使える今、いらないホームボタンが搭載しているiPhone SE3は、老人向けiPhoneに成り代わってしまった。
これからiPhone SE3を買おうとしている方、発表を見てどのiPhoneを買おうか迷っている方など、情報提供になればと思います。
iPhone SE3のざっくり解説
- 処理速度は最速(プロセッサー)
- 指紋認証機能(Touch ID)付きホームボタンはもういらない
- ディスプレイは5年近く前のゴミ性能
- カメラも5年近く前のゴミ性能
- iPhone SE3は、ディスプレイとカメラはこだわらない人向け
- 差額の2万円を出してiPhone 12miniを買ったほうが幸せ
iPhone SE3は正直ビミョウ
待ちに待ったiPhone SEシリーズの新作発表。
iPhone SEシリーズに我々が望んでいた事と言えば、これらのような内容ではないでしょうか。
iPhone SE3への期待
- コスパの良いiPhoneが欲しい
- 片手に収まる使い勝手の良いiPhoneが欲しい
- ホームボタン付きのiPhoneが欲しい
そんな中で今回発表されたiPhone SE3、結果的にこれら期待をかなりの割合で裏切る内容となってしまいました。
しかしながらiPhone SEシリーズのデザインやサイズ感等を望んでいた方も多いようなので、一定数の方々には有り難いiPhoneなのかもしれません
デザインやサイズ感以外で比較してしまうと、実はあまりコスパの良いiPhoneではない。
iPhone SE3のコストパフォーマンスについて、その特徴を確認しながらみていきましょう。
iPhone SE3のスペック
今回発表されたiPhone SE3には新機能は無くて、これまでのiPhoneで使用されてきたスペックが散りばめられているというイメージが分かりやすいと思います。
押さえておきたいポイントは4つ。
iPhone SE3のポイント
- A15チップ → 最新のiPhone 13にも搭載している爆速チップ
- ホームボタン → 指紋認証機能(Touch ID)付き
- ディスプレイ → ゴミ性能
- カメラ機能 → ゴミ性能
最新のA15チップで爆速
iPhone SE3のスペックは爆速で、iPhoneの中では現時点で最速のスペック。
処理速度は、搭載しているプロセッサーというスマホの頭脳で決まります。
直近のiPhoneシリーズを比較すると下記。
iPhoneシリーズの搭載チップ
- iPhone 12 シリーズ:A14 Bionicチップ(2020年10月発売)
- iPhone 13 シリーズ:A15 Bionicチップ(2021年9月発売)
- iPhone SE3:A15 Bionicチップ(2022年3月)
そもそも直近に発売されたiPhoneのスペックは高すぎで、これだけスペックの高いiPhoneを買う理由を考えてみようとすると正直不明。
同日に発表されたデスクトップPCのMac Studioも同じで、Appleのスペックは高くなりすぎて一般ユーザーには縁のない商品が増えまくっている。
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【Mac Studio】スペックは高いが、ゲーム用には無理【結論:いらない】
続きを見る
スペックの高いiPhoneは、スマホゲームを安定的にしたかったり、長期的に使うために買っているという方が多いのではないでしょうか。
Appleはもっと過去のiPhoneに振り返って、iPhone SE3が高性能であることをプレゼンしています。
まずは処理能力を示すCPUは、2017年に発売されたiPhone 8と比較すると、倍近い速度になっています。
その次はグラフィックの性能を示すGPUで、iPhone 8と比較してこちらも2倍近い数値となっています。
ただし比較対象がiPhone 8と5年近く前のものなので、あまり当てにならない気もしますよね。
ちなみにiPhone SE2は、iPhone 11シリーズに搭載されていたA13チップを搭載していました。
A13チップと比較してしまうと、差はCPU・GPUともに1.3倍ほどの差しかありません。
直近のiPhoneを含めて、これらの数値で見てみましょう。
プロセッチップ | iPhoneシリーズ | CPUスコア(シングル) | GPUスコア |
A15 Bionic | iPhone SE3 iPhone 13シリーズ |
1734 | 229 |
A14 Bionic | iPhone 12シリーズ | 1593 | 174.7 |
A13 Bionic | iPhone 11シリーズ iPhone SE2 |
1336 | 162.5 |
A12 Bionic | iPhone XS,XR,XS,Max | 1117 | 127.6 |
A11 Bionic | iPhone 8,8Plus,X | 935 | 71 |
スマホにスペックがそこまで必要無い方であれば、iPhoneはA12 Bionic移行のプロセッサーが搭載していれば全く問題ない。
とは言え、早いに越したこと無いですよね。
しかしながらプロセッサー以外では、iPhone SE3のことをゴミ性能と言わざるをえないポイントがいくつもある。
ディスプレイはゴミ性能
iPhone SE3は、一般ユーザーには少しだけ分かりにくい部分でのコストカットがなされています。
その代表例となるのが、そのディスプレイと言えます。
こちらも歴代のiPhoneと比較すると分かりやすいですが、iPhone SE3のディスプレイは大きさも性能も良く言えば必要最低限で、悪く言えば古すぎ。
Retina HDディスプレイは、5年近く前に発売されたiPhone 8まで巻き戻さなければ出現しない。
iPhoneシリーズ | ディスプレイサイズ | 機能 |
iPhone SE3 | 4.7インチ | Retina HD |
iPhone 13 Pro Max | 6.7インチ | Super Retina XDR |
iPhone 13,13 Pro | 6.1インチ | Super Retina XDR |
iPhone 13 mini | 5.4インチ | Super Retina XDR |
iPhone 12 Pro Max | 6.7インチ | Super Retina XDR |
iPhone 12,12 Pro | 6.1インチ | Super Retina XDR |
iPhone 12 mini | 5.4インチ | Super Retina XDR |
iPhone SE2 | 4.7インチ | Retina HD |
iPhone 11 Pro Max | 6.5インチ | Super Retina XDR |
iPhone 11 Pro | 5.8インチ | Liquid Retina HD |
iPhone 11 | 6.1インチ | Super Retina XDR |
iPhone XS | 5.8インチ | Super Retina HD |
iPhone XS Max | 6.5インチ | Super Retina HD |
iPhone XR | 6.1インチ | Liquid Retina HD |
iPhone X | 5.8インチ | Super Retina HD |
iPhone 8 Plus | 5.5インチ | Retina HD |
iPhone 8 | 4.7インチ | Retina HD |
Retina HDやSuper Retina XDRの差は下記の通りで、ディスプレイを表現するドットの数やコントラスト比の差は、思っている以上に大きい変化です。
ディスプレイの機能差
- Retina HD:画質密度326〜401ppi、コントラスト比1300〜1400:1
- Liquid Retina HD:画質密度326ppi、コントラスト比1400:1
- Super Retina HD:画質密度458ppi、コントラスト比1000000:1
- Super Retina XDR:画質密度458〜476ppi、コントラスト比1000000:1
何がいいたいかというと、iPhone SE3はディスプレイだけで考えると2017年に発売されたiPhone 8と同等レベルの機能しか無い。
日進月歩で技術が進化している現代で、5年前の技術を使い続けるのはかなり勿体ない。
効率的にお金を使って幸せになるためには、使う時間の長いものにこそお金をかけるべきです。
映像を手軽に楽しめるようになった今だからこそ、1日の中でもかなりの割合を占めているスマホは少しいいものを使うべき。
カメラ機能もゴミ性能
iPhone SE3の中途半端な機能はカメラにも及んでいて、見ての通りiPhone SE3にはカメラが一つしかありません。
超広角レンズがつかない格好で、良く言えば懐かしく、悪く言えば時代遅れ。
iPhone SE3に搭載されていないカメラ機能について、こちらもまとめました。
挙げるとキリが無いので、有名どころだけまとめています。
iPhone SE3に無いカメラ機能
- 超広角カメラ
- 望遠カメラ
- ナイトモード
- シネマティックモード
iPhone SE3のカメラ性能だけを見ると、こちらもiPhone XやiPhone 8と同じくらいしかない。
つまり、ディスプレイ性能だけで無くカメラ性能も、5年近く前のスペックのものの使い回しです。
ここ最近でAppleから発表されていて興味があった機能でも、iPhone SE3では搭載されていないものがほとんどなので要注意です。
指紋認証機能(Touch ID)付きホームボタン搭載
多分iPhone SE3を考えている方の殆どは、ホームボタン機能を必要としているのではないでしょうか。
マスクをしているとFace IDは使えないし、人に見られながら4桁のパスコードを入力するのはセキュリティも何もない。
しかしながら現状、指紋認証機能付きのホームボタンはいらないと思う。
その理由は2つで、下記の通り。
指紋認証機能がいらない理由
- ホームボタン搭載によってディスプレイのサイズが一気に小さくなる
- マスク着用時にFace IDが使用できるiOS 15.4の精度が高い
iOS15.4の精度については後述しますが、かなり精度は高いと思って問題ありません。
指紋認証機能(Touch ID)はいらなくなってしまった
コロナ禍で熱望されていたホームボタンの復活。
ホームボタンをずっと望んでいた方からすると受け入れがたい現実かもしれませんが、ホームボタンはもういらなくなってしまったと思う。
その理由は先にも書いたとおりで、iOS15.4より搭載されたマスク着用時にもFace IDが使える機能が非常に優秀だからです。
しかも、ホームボタンさえ無ければ、画面はこれだけ一気にデカくなる。
iPhoneシリーズ | ディスプレイサイズ | 本体サイズ横(mm) | 本体サイズ縦(mm) |
iPhone SE3 | 4.7インチ | 67.3 | 138.4 |
iPhone 13 Pro Max | 6.7インチ | 78.1 | 160.8 |
iPhone 13,13 Pro | 6.1インチ | 71.5 | 146.7 |
iPhone 13 mini | 5.4インチ | 64.2 | 131.5 |
iPhone SE3とiPhone 13 miniを比較すると分かるように、本体サイズが小さいiPhone 13 miniの方がディスプレイは0.7インチも大きいことが分かります。
指紋認証機能がいらないなら、ホームボタンはどう考えても無いほうがいい。
iOS 15.4なら、マスク着用時にもFace IDが使える
当方はβ版から体験していますが、iOS15.4のマスク着用時Face IDはかなり正確です。
これがある限りホームボタンを搭載するメリットは殆ど無くて、ディスプレイがただただ小さいというデメリットだけが残る。
マスク着用時Face IDを使ってみると、具体的には下記の注意点さえ押さえておけば、認証時にストレスを感じる事は殆どありませんでした。
マスク着用時Face IDの注意点
- カメラと顔の向きには慣れが必要
- 帽子をかぶっていると認証されない場合が多い
- 風が強い場面ではたまに認証されない場合がある
iOS15.4で搭載されたマスク着用時Face IDの機能、目より上の部分でも認証しているようです。
その証拠に、帽子をかぶっていたり、風で激しく髪が乱れている場面で、認証されないことがありました。
iOS15.4の正式リリース日は、2022年3月15日となりました。
新たに発表されたiPhone各種には、このマスク着用時Face ID機能の搭載されたバージョンが搭載される予定となっています。
ただし、マスク着用時Face ID機能が使用できる対象機種はiPhone 12シリーズ以降だけなので要注意。
iPhone SE3を発売するギリギリのタイミングでリリースするAppleはズルすぎるくらい優秀。
指紋認証機能(Touch ID)はカメラを使えないシーンのみ優秀
こうなってしまうと、指紋認証機能(Touch ID)がユーザーに効果を発揮する場面は、かなり限られてくると考えるのが自然。
指紋認証機能が活躍する場面は、起動時にカメラを作動できない場合のみになりそう、というのが個人的な考えです。
例えば、クラムシェルモード(MacBookを閉じた状態で外部ディスプレイと接続できる機能)で起動する際には、MacBook内蔵の指紋認証機能は使えない。
私はこの起動をスムーズにするために、Touch ID搭載Magic Keyboardを購入しています。
詳細はこちら(クラムシェルモード用キーボードならApple純正【現状は一択】)の通り。
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クラムシェルモード用キーボードならApple純正【現状は一択】
続きを見る
クラムシェルモード以外にも、iMacやMac mini、Mac StudioやといったデスクトップMacでは有効に使えるものでしょう。
今後の指紋認証機能は、こういった限定的な場面だけで使えるものに廃れていきそうです。
これまでに発売されたiPhoneとiPhone SE3を比較
指紋認証機能(Touch ID)が必要無い(もしくは重要度が低い)となると、どのiPhoneがコスパの良く、コンパクトで使いやすいモデルなのでしょうか。
価格を含めて、これまでの要素をいくつか比較してみましょう。
iPhoneシリーズ | ディスプレイサイズ | プロセッサー | 価格(税込) |
iPhone SE3 | 4.7インチ | A15 Bionic | ¥57,800〜 |
iPhone 13 Pro Max | 6.7インチ | A15 Bionic | ¥134,800〜 |
iPhone 13 Pro | 6.1インチ | A15 Bionic | ¥122,800〜 |
iPhone 13 | 6.1インチ | A15 Bionic | ¥98,800〜 |
iPhone 13 mini | 5.4インチ | A15 Bionic | ¥86,800〜 |
iPhone 12 Pro Max | 6.7インチ | A14 Bionic | (¥117,800〜) |
iPhone 12 Pro | 6.1インチ | A14 Bionic | (¥106,800〜) |
iPhone 12 | 6.1インチ | A14 Bionic | ¥86,800〜 |
iPhone 12 mini | 5.4インチ | A14 Bionic | ¥69,800〜 |
※かっこ内に表示した価格は、Apple公式サイトですでに販売停止したため発売時の価格です
このように考えてみると、iPhone SE3はあまりコスパのいい買い物とは思えません。
たとえプロセッサーが最新のものとはいえ、ディスプレイやカメラは5年近くも前のモデルと同じ性能です。
ホームボタンを搭載するがためにベゼルも大きく、それだけディスプレイも小さい。
プロセッサーが最新のものなので長く使えることに違い有りませんが、割と重要な部品で見てもあまりいいスマホとは思わない方がよさそうです。
指紋認証機能(Touch ID)がいらない今、iPhone 12 miniで十分じゃない?
冒頭の話に戻ると、iPhone SE3は古い部品を売り切るための在庫一掃セールにしか見えない。
それくらいiPhone SE3は、ロマンのかけらも無いiPhoneだというのが一通り比較した感想。
iPhone SE3のざっくり解説
- 処理速度は最速(プロセッサー)
- 指紋認証機能(Touch ID)付きホームボタンはもういらない
- ディスプレイは5年近く前のゴミ性能
- カメラも5年近く前のゴミ性能
- 差額の2万円を出してiPhone 12miniを買ったほうが幸せ
先にご紹介した比較表の中から、個人的にオススメのiPhoneをご紹介するならiPhone 12miniでしょうか。
価格は2万円ほどの差がありますが、結果的に満足度の高い買い物になるかと思います。
A14チップとA15チップの性能差も大したことないし、大きくて鮮明なディスプレイを片手で操作することができる。
それに先ほどご紹介したiOS15.4は、iPhone 12シリーズ以降のみを対象としているので、それ以前のモデルを買うとマスク着用時のFace IDは使用できません。
2万円の買い物で、これらの機能が手に入るなら間違いなく安い。
iPhone 12miniの角張ったデザインには、好き嫌いがあるかもしれませんが、いざ使ってみるとそう悪くはありません。
高校生の頃に初めて買ったiPhone 4Sを思い出すもので、個人的には非常コレが好き。
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