【感想】暴太郎戦隊ドンブラザーズから考える、いま我々に出来る事

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暴太郎戦隊ドンブラザーズのファイナルツアーも終わり、本当にドンブラが終わってしまった。

正直に告白するとTVシリーズの途中からハマった僕なのですが、それでもドンブラロスはつらい…。
もとい、つらいぞ翼…。

いつもはアクセス数とアフィリエイト・フィーだけを考えている当ブログ。
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なのですが、ドンブラザーズがあまりにも素晴らしかった。
インターネットに漂うゴミのひとつで結構なので、一個人の感想を投下しておきたい所存。

これからご覧になる方は、ドンブラザーズのカオスなのに熱いメッセージをそれとなく感じていただき、
一通り見た方は、おさらいや、こんなことを感じた人もいるんだ程度にお読みいただけると丁度いいかと思います。

※ネタバレは極力回避していますが、これからでも観たくなる要素として簡単に触れている箇所もあります

ジャンプできる目次

どうして暴太郎戦隊ドンブラザーズが人気なのかを勝手に考察

テレビシリーズはもちろん。
映画×2本・Gロッソ・ファイナルライブツアーと、ドンブラザーズを肌で感じた1年半でした。

まず初めに、どうしてドンブラザーズは人気だったのか?についてまとめました。
今更感こそかなりありますが、

頭のおかしい脚本は、井上敏樹ファンでなくても中毒性高め

有識者の方ならもちろんご存知だと思いますが、脚本は大先生こと井上敏樹。

まだ暴太郎戦隊ドンブラザーズをご覧になっていない方向けがいらっしゃるかもしれません。
極力ネタバレを含まず、ドンブラザーズが観たくなる頭のおかしい脚本を振り返ってみます。

ドンブラザーズとは?
  • そもそも、暴太郎戦隊っていうネーミングが最高にダサい(普通○○ジャーじゃないの?)
  • 変身後の赤はチョンマゲに生えていたり最高にダサい
  • 変身後のピンク・黒はCG
  • 青が無職で、ピンクが会社員の男で、黒が指名手配犯
  • 赤は嘘をつくと死ぬ(実際に何回か死ぬ)
  • ピンク・黒・登場人物の女性が三角関係になる(NTR要素)
  • 変身前の正体が分からないままストーリーが進んでいく
  • むしろ、脳人という敵キャラ?の方がカッコいい
  • 戦闘パートよりドラマパートが異様に長い(やっつけ感すらある戦闘)

挙げればキリは無いのですが、ピンクが男な事くらい忘れてしまう程カオス。

いわゆる特撮ヒーローと言えば、困難を乗り越えて、みんなで協力して強力な技を会得して、強大な敵をやっつけるみたいな構図だと思います。

一方でドンブラザーズは、赤の桃井タロウ(樋口幸平)が突如「いくぞ、お供達。究極大合体だ。」的な掛け声で必殺技が発動。
「ドン、ドン、ドンブラザーズ!」の掛け声で敵が爆散します。

それでは毎話なにをやっているかというと、喫茶店でくっちゃべったり、トレンディードラマ的な日常がメイン。
日常の延長線上としてヒーローをやっているという点では、一般的なイメージとは異質です。

20秒の予告編だけで、バカバカしさとカオスさが分かります。
(どちらの予告編も、ネタバレが無いものを選んでいるつもりです)

はたまた、お料理勝負だけで終わる回も…。

かなり後半の41話でも、敵キャラ的立ち位置の脳人がサンタになるおふざけ回だったりします。
あと9話で終わるのに、縦軸が全く進まないぞ!おい!!!

だからこそ、ドンブラザーズでしか得られない養分がきっとある…。

東映としては挑戦的で、「今年は井上敏樹で、たまにはヘンな味の戦隊にしてみるか!」という一年なのでしょう。
もちろんこの前提には、いわゆる「戦隊」というセオリーを守った年があるからこそです。

ちなみに2023年5月時点では、VODだと東映特撮ファンクラブ(TTFC)でしか視聴できないようです。
TSUTAYAやゲオのレンタルでは既に旧作コーナーに置いてあると思います。

SNSで日曜朝からバズるNTR

ドンブラザーズで多分最もバズったと思われるのが、NTR的な展開です。
(話の序盤で分かる内容なので簡単に触れさせてください)

SNSでは毎週のようにTwitterのトレンド入りしていた記憶があります。
話題に事欠かないとはこのことだと思います。

ピンクの雉野つよし(演:鈴木浩文)と黒の犬塚翼(演: 柊太朗)は、同じ登場人物を好きになります。
しかもこの登場人物、ピンクが結婚している相手で、同時に黒が数年前に付き合っていた彼女でもあります。

黒と付き合っていた頃の記憶が無い設定で、黒はピンクとラブラブな元彼女を見るしかありません。

書くと改めて意味不明でカオスな人物配置ですが、読み間違い・書き間違いではありません。
そうなってしまう設定が用意されています。

日曜朝9時台の放送なので、直接的な表現こそありません。
ですが、食卓を囲む=寝てるじゃねぇか!みたいなことを大人(というか井上敏樹ファン)なら感じるかもしれません。

このようなゴチャゴチャが実現してしまう設定として、変身前の正体を互いに知らないまま話が進んでいきます。
これが物語の縦軸のようになっていて、それ故に各所ですれ違いが発生する結果となります。

ヒーローは揃うまでが面白い、というのは井上敏樹のインタビュー(日刊SPA)でも触れられていました。
煙草・酒・低い声の似合う井上敏樹氏のご尊顔を拝みたい方は、下記のインタビューをご覧ください。

これは同じく井上敏樹が脚本の2003年人気作「仮面ライダー555」とも一貫しています。

役者・脚本のPDCA的な好循環とライブ感

脚本の良さと同様に感じたのが、ライブ要素が非常に強いということでした。
一週間(もしくは一年間)を一緒に生きているぞ!って感じがしました(よね?)。

しかもそれが相乗効果として、好循環になっているような気さえします。

PDCAサイクルって言葉は古いらしいですが、そんな想像ついてしまいます。
具体的に書くならこんな感じ。

相乗効果とは?
  • 役者の性格によって脚本(キャラ)は軌道修正され
  • 役者はキャラを演じやすくなり
  • 毎週のSNS反響から脚本はノリノリに

ライブ要素が良いな!と改めて思いました。
一挙配信(NetflixやAmazonプライムなど)が増えた反動なのだとも思います。

毎週30分ずつ視聴して、SNSで考察を見ながら、リアルタイムで没入する経験って少なくなりましたよね。
揺り戻し的に人気を得たのではないかとも思います。

脚本・演者の個性が尖りまくった結果ヒーロー側は、赤の桃井タロウ(演:樋口幸平)は声にドスが効きまくり、青の猿原真一(演:別府由来)は一貫して無職の風流人で、黄の鬼頭はるか(演:志田こはく)は変顔に磨きがかかり、黒の犬塚翼(演:柊太朗)は終盤で一気に縦軸参加して、ピンクの雉野つよし(演:鈴木浩文)は草加スマイルをリバイバルするわけです。

特に言えば脳人は、構想の段階ではすぐに退場してしまう(交代制ですぐに入れ替わる)予定だったようです。
それが、ソノイがどんどんネタキャラになっていき、ソノニは人間らしくなりローアングル登場が増えて、ソノザは感情のコントロールどころか漫画のプロフェッショナルになり、、、。

これ以上はネタバレ不可避なので明言を避けます…。

乗りに乗ってる作品って、もはや何をやっても面白い。
足し算でも掛け算でもなく、言ってみれば冪乗(累乗)の勢いを感じました。

暴太郎戦隊ドンブラザーズから(勝手に)受け取った事

散々ふざけている(いい意味で)と書いたドンブラザーズですが、ここまで観ていて感動することになるとは思いませんでした。
というか僕は、何回も笑いながら泣いてしまいまいました。

物語の芯としては、かなり図太いメッセージなのではないかと思うのです。
受け取った事を(非常に個人的な考え方に)勝手に解釈してしまうと、こんな感じ。

「コスパや他人に気を取られず、自分自身の世界線で真っ直ぐ生きる」

超曲解したメッセージを文字でまとめると、意識高い系の自己啓発本っぽいメッセージかもしれません。
こう言うと怒られるかもしれませんが…。

けれど、もっと経験的に受け取れるメッセージという点で、自己啓発本とは違います。
メッセージの中には、時代と逆行しているものもあるように感じます。

例えば、フラット化(無機質カフェ的、無印良品的)したり、短時間で正解を求めたり(ひろゆき切り抜き的、ChatGPT的)とも反対。

極論言うと、自分の頭で考えろ!的なメッセージとも言えてしまいます。
明確な答えは提示していませんが、多様なキャラの変化こそがメッセージなのだと感じました。

違いは間違いじゃない

「チガイはマチガイじゃない」というのは、ドンブラザーズのED曲にある歌詞です。
MORISAKI WIN(森崎ウィン)/ 「Don’t Boo!ドンブラザーズ」が、本当に素晴らしい歌詞ばかりなので聴いてほしい。

「言い訳は粋じゃないぜ ブラザー」「イイもんはイイで良いじゃない」前向きな歌詞すぎる!

僕みたいな性格のよろしくない人間でも、なぜか真っ直ぐに受け止められてしまいました。
そして、そんな曲・アーティストは、そこまで多くない気がしています。

藤井隆の超名曲「ナンダカンダ」や「アイモカワラズ」とも通じるものを感じました。

「Don’t Boo!ドンブラザーズ」の中でも「チガイはマチガイじゃない」という歌詞は断トツで良い。
今の社会とも呼応している歌詞のように感じています。

具体的には、フラット化しようとしすぎていないでしょうか?
バラバラな方向性に強弱も色々で、ヘンな人が沢山いるという前提が、少し忘れられていると感じています。

身近な例として、SNSでの発言にも過剰なまでに叩いてフラット化した方が安全な気もします。
「まぁインターネットだからそんな人が居ても普通か」と思うくらいで良いと個人的には思います。

フラット化の考え方は、我々の好き嫌いにも入り込んでいると思ってます。
例えば、無機質カフェ・無印良品・脱毛は。

「人間はツルツルになっていく」というのは、哲学者 稲垣諭の著書「絶滅へようこそ」でも書かれていました。

コスパ悪く時間をかけないと人は変化しない

我々の考えの中には、コストパフォーマンス(もしくはタイムパフォーマンス)を重視している感があると思います(僕みたいな若い人が多いのかも)。
これは個人の感想でもありますが、下記の考え方・行動はかなり一般化してきているとも思います。

コストパフォマンス重視の具体例
  • 映画・ドラマ・YouTubeの倍速再生視聴
  • 本を読まずに、YouTubeで内容を得る
  • コスパが悪いからと恋愛しない、投票しない

もちろん悪いとは思いませんが、「う〜ん、コスパの先に何があるのだろうか・・・」とは思っています。

ちなみに、記事を書いている時点で話題の「サンクチュアリ -聖域-」でも、その対立枠がありました。
「相撲の稽古に四股(しこ)ってコスパ悪くないですか?実践を積めば良くないですか?」みたいなやり取り。

コスパ・タイパを重要視して考えることは、一面で考えると妥当なことだと思います(単純にお金が無いから効率的にならざるを得ないのかもしれませんが)。
自分に響くメッセージを得たければ、ドンブラザーズを観るよりも自己啓発を読む(もしくはその内容をYouTubeで倍速再生する)方が手っ取り早いかもしれません。

一方のドンブラザーズは、1年間で50話かけて、時に悪ふざけ回を交えて前向きなメッセージをくれました。

作中の登場人物が50話かけて心境が変化していったように、徐々に自分なりに変わるしかないということなのだと思います。
前述した「違いは間違いじゃない」を受け入れつつも、自分の世界線で自分なりのベストを尽くすしかありません。

ちなみに、タイパ・コスパ論争については、哲学者の東浩紀氏が「タイパを求めるなら生きていない方がいい」という回答をしています。

ムダばかりでコスパの悪いことの連続こそが人生かも、と最近は思い続けています。

これこそが本当の意味での多様性かも

多様性といえばセクシャルマイノリティが挙げられる機会が多い印象ですが、もっと目立たないハミ出し者だって少なくないと思います。
最近では頻繁に使われている「SDGs」って言葉もそうなのですが、なんだか違和感を感じるのは僕だけでしょうか。

分かりやすい(明瞭に理解しやすい、もしくはニュースで取り上げやすい)多様性を取り上げることも重要ですが、それがガス抜きになってしまい、本当の意味での多様性をないがしろにしてしまう気もします。
まぁ、ネジ曲がった性格だからなのかもしれませんが。

地元のお祭りや、深夜のクラブに行ってみると分かりますが、「ここの人達、普段どこでどうやって暮らしてるんだ!?」と思う人が結構いますよね。
こっちの方が、「多様性」という言葉にピッタリだと思います。

自分が飲んでいるコーヒー豆を作っている人も、それを運んでいる人のことも、僕らはよく分かっていません。
「コ○ナを広めたから中国人は全員悪いヤツ!」と思う人だっているかもしれませんが、中国人に友人がいればそうとは思わないでしょう。

だからこそ、多様な人(立場・考え方・)がいることを知っておく必要があるということだと思います。

言ってしまえばドンブラザーズの描いた人物設定こそが、本当の意味での多様性なのではないかと感じたということです。
少し飛躍しているかもしれませんが。

それでいてドンブラザーズは、なんだかんだ間口が広い作品だとも思います。
ここの塩梅が丁度いいと思うのです。

【ネタバレ有】ドンブラザーズ ファイナルライブツアー(FLT)で大阪に遠征してみた感想

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前述した通り、ドンブラザーズ ファイナルライブツアー(FLT)に参加しました。
ツアーは東京を回らないのが恒例になっているようで、ツアー最後の都市である大阪に参加しました。

まさかの1階席 上手3列目という、神席を体感させていただきました。

ただし、そのおかげで発狂しすぎて記憶が曖昧です。
僕の大好きな脳人についてのみ書きました。

(見逃し配信を見たので、後ほど追記するかも)

脳人が好きだ!

僕の参加したのは2023/05/28 (土)13:00〜の「6人のーと」回。
「脳人(ソノイ・ソノニ・ソノザ)が好きなので俺得!」と思って参加したら、ソノシ・ソノゴ・ソノロクも最速で好きになってしまう回でした。

どうしてファイナルライブツアーで好きにさせるのさ!今日は別れを言いに来たのにッ!!

ソノシ・ソノゴ・ソノロクが最高だった場面を簡単にレポートさせてください。

まずソノシは、小型のアルコールスプレー?を持って「消毒!消毒!」と言い会場爆笑の入場。

ソノザがソノロクと筋肉対決する流れで、盛り上げようとしたソノザがなぜか腕立て伏せを始めようとして一同「腕立て伏せは(低くて)お客さん見えないじゃん!」となっている中、いきなりソノシが行司になって無理やり腕立て伏せを強行。
空回りにさせないどころか盛り上げてしまうのは、ソノイ・ソノニ・ソノザとも違うベテランを感じてウルッと来ました。

ソノロクはなんでこんなに面白いのかと思うくらい、適度に場を荒らし続けるムーブで常に盛り上がりの連続。

その後は、脳人メンバーのフルネームを考えようという流れで、ドンブラザーズのメンバーに華麗なムチャ振り。
「ドンブラザーズのメンバーがほぼ喋ってない」という配慮を感じてか、これまたベテランの力量にウルッときました。

ソノゴは「放送しているドンブラザーズを見てハマって、私も(出演したくて)いてもたってもいられず直談判しにいきました」と仰っていました。
最後の挨拶では「行動すればドンブラザーズにも途中参加できます!みなさんの勇気が出るきっかけになればと思います」的なコメント。

まさかソノゴがそんな方だったとは!!!!
このメッセージが響いて大号泣しましたね。

ソノイは全員の暴走を受け流すMCに集中。
あれを仕切れるのは冨永さんだけです。

僕の推しことソノイちゃんは、ソノゴに対抗してブリッブリのランウェイをなさっていました。
本当に本当にありがとうございました。

ししてソノザが言った挨拶で、一番最初に涙腺が崩壊してしまいました。
節々(ドンブラ ゼンカイの舞台挨拶、Instagramの投稿など)から伝わるドンブラザーズ、というか脳人、というかソノザ自身への愛を感じました。

何が言いたいかというと、東映株式会社 御中、脳人スピンオフを期待しています。
(その際は、最高にくだらなくい適当な理由をつけて、ソノシ・ソノゴ・ソノロクも復活させてください!)

感想まとめ:リアルタイムでこれほどハマるものは今後あるのか?

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ここまで振り返って感じたのが、リアルタイムでこれほどハマるものは今後あるのか?ということでした。

もちろん、キングオージャー(ドンブラの次の戦隊)も面白い。
ドンブラにハマって遡ってみた仮面ライダー555も仮面ライダークウガも最高に面白かったけど、同じ1年間を生きたドンブラザーズはやはり愛着が別格かもしれません。

ここからは28歳男性の個人的な経験なのですが、音楽も文学も本当に好きと思うものは、何年も(もしくは何十年も)前にピークを迎えている感があります。
同時代に生きているだけ嬉しいだろ!と言えばそうかもしれませんが。

かと言って流行りの音楽はよく分からんし、人生で最も影響を受けたYMOだって細野先生ひとりになってしまった…。

28歳にして老害みたいな終わり方ですが、情報収集を続けるしかないな…!と改めて思いました。
(最近は、宇多丸氏MCのTBSラジオ「アフター6ジャンクション」に助けられています)

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